山田久志の「令和のサブマリン論」。
アンダースローこそ本格派であれ! 

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Koike Yoshihiro

── 投げづらいバッターはいましたか。

「小柄でミートしてくるタイプの打者は苦手でしたね。島田誠(元日本ハム)や大石大二郎(元近鉄)、弘田澄男(元ロッテなど)......的が小さいから投げづらいというのもあったと思うのですが、バットを短く持って合わせにくるバッターとの相性は悪かった。とくに私のボールは、ベース上で変化したり、加速したりしていたので、その前でとらえられるとなかなか厳しかったですね。

 逆に、振ってくるバッターは投げやすかった。もちろん、タイミングが合って芯でとらえられたらホームランになりましたけど、抑えられる確率は高かった。これまで渡辺俊介や牧田和久が世界相手に好投したことからもわかるように、アンダースローは振ってくる打者にはとくに有効なんです」

── 最後に、高橋礼投手、與座投手へのアドバイスをお願いします。

「これから対戦を重ねていくと、当然、打者の目も慣れてきてこれまでのようにいかなくなります。ただその時に、何度も言いますが、変化球ではなくストレートを磨いてほしい。ふたりともまだ若いですし、30歳まではストレートの速さ、質を追求してほしいですね。そうすれば、これから先のピッチングがもっと楽になる。投球術は30歳を超えてからで十分。まだまだ可能性を秘めた投手ですし、野球界のためにも頑張ってほしいと思います」

山田久志氏プロフィール
1969年ドラフトで阪急に1位指名され入団。76年より史上初の3年連続MVPに輝き、12年連続開幕投手など名実ともに阪急のエースとして活躍。88年に現役を引退し、その後はオリックスのコーチ、中日の監督などを務めた。歴代7位の通算284勝を挙げ、球界関係者から「史上最高のサブマリン」と称されている。

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