2020.07.05

今の投手も350勝できるはずや、
同じ人間やからと米田哲也は言った

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki


 青田昇は現役最晩年の59年、阪急でプレーしているから、その時に米田さんと同僚だった。しかし、酒のことだったとは......。

「だけど、飲むというのもね、僕は飲む時、滅茶苦茶うまかったんですよ、人に飲ませたり、注いだりするのがね。要はガソリンスタンドで入れるのと同じで。だから、普通に周りから見たら、同じように飲んだ感覚でおるけど、オレはあんまり酔っぱらってないっていう気がありました。そしたら『お前、強い!』ということで。

 別に、適度に抑えて節制してたわけやない。飲む時は飲んでましたよ。キャンプでもね。ただ、僕はどんな飲んでも、1時間前に目覚ましかけといて、朝起きたらね、すぐユニフォーム着るんです。初めの頃、みんなに言われました。『おまえ、ユニフォーム着て寝とるちゃうんかい?』って。でも、僕はどう言われようと、絶対、着た」

 プロとしての生き方を決める。周りの目を気にしていたら自分の道は進めない、ということなのだ。

「それはそうですよ。宿舎でもエレベーター乗らなかったし。5階までも階段。だから、自分が人と違うことやったら、ものすごい差ができると思ってるんです、僕の感覚は。人が休んでる時にね、やって初めて差ができるっちゅうのが、僕の考え方。

 シーズンオフもね、自分で適当にやってましたよ。犬を連れて走ったりね、夜。あれ、夜走ったら、滅茶苦茶、足が速く見えるんですよ。昔は室内練習場があるわけじゃないし、やっぱり走るしかなかったですから」

 オフの話を聞いて、思い当たることがあった。ある現役のベテラン投手に取材した際、オフでも絶対に毎日、ボールを触る、投げなくても触るという話を聞いた。米田さんもそうだったのではないか、と直感したのだ。