2020.07.05

今の投手も350勝できるはずや、
同じ人間やからと米田哲也は言った

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki


 井川慶、上原浩治の話をした時と同じ口調だった。今の投手に対しては、常に厳しい視線を送っているのだ。確かに工藤公康(元・西武ほか/当時は巨人)の場合、ケガで投げられない時期も含めての24年間だ。それで逆に長持ちしてきたことを米田さんは指摘している。

「昔だったらクビになってます。よく『肩は消耗品』と言うけど、思う人はそう思うやろ。『消耗品』て言うたって、楽したからって早くパンクするヤツもいる。鍛えなきゃいかんですよ。鍛えて強くすることがプロの宿命、役目なんですよ。

 だから鍛える気持ちがあるか、ないかの違いや。プロだったら、限界に挑戦してくれたらええねん。僕の記録、350も、949も、同じ人間やねん、できないことはありえない! 挑戦力、あるかないかの違い。それをかき立てられるものを持っておれば、できるはずですよ」

 無理、と断じながらも、やはり米田さんは若者たちに期待している。だからこそ、高校球児への指導にも向かったのだろう。では、これからの投手たちに何を期待し、何を望むのか。

「体を強くすること、柔らかくすることをやってほしい。あとはね、股関節の強化。これ、絶対に大事です。僕も練習のなかで鍛えてたけど、終わってみて、歳いってからもっとやっておけばよかった、と後悔した。

 で、それがね、この頃、初めて工藤が言うてますよね。『ピッチャーは股関節』って。ああ、アイツも言っとんねん、と思いました。やっぱり、歳いけばね、股関節が広がらなくなる。投げる時に腰が沈まなくなる。それを工藤はわかっとるな、と思いますね」

 すっかり穏やかな口調に戻っていた。工藤のことはきっと認めていると思いたい──。ところで、[ガソリンタンク]というニックネームについて、まだ聞けていなかった。その由来は米田さんの体力とスタミナだったそうだが、いつ頃からマスコミにそう呼ばれていたのだろうか。

「いや、それは違う。青田さんが付けたんですよ。『お前、よう飲むなあ』と」