ロッテの強さは本物か? レジェンドOBが分析も「予感はまったくなかった」 (5ページ目)

  • 栗田シメイ●文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

―― 絶対的な存在がいなくなったことで、チーム内の競争も激しくなってきた?

「そう思います。ここ数年、とくに野手はレギュラー陣を脅かす選手が育っていませんでしたが、今年は違う。FAで福田も加入し、安田(尚憲)、藤原(恭大)といった勢いある若手も出てきた。期待されて入団した平沢(大河)も内野陣の争いに加わってほしい。田村(龍弘)にしても、打てる捕手の佐藤(都志也)が加入し、柿沼(友哉)の存在もあり、危機感を感じているだろうし、それが成長にもつながる。

 また、今年は球界の宝になるであろう、佐々木(朗希)が入団したことで例年以上にチームが注目され、キャンプからマスコミも多かった。普段、ロッテのキャンプにあんなに人はいませんから(笑)。ただ、そうやって多くの人から見られるというのはモチベーションになるし、高いレベルの競争力が生まれているのは強いチームの条件でもありますから」

―― 井口(資仁)監督の采配については、どう見られていますか。

「采配というより、就任3年目となって"井口野球"がチームに浸透し、選手それぞれの理解力がついてきたことが好結果につながっていると見ています。1年目は盗塁の意識を持たせ、機動力野球がテーマでした。それは、当時のロッテは盗塁の意識が希薄で、先を見据えて機動力という意識を植えつける必要性を感じていたからです。

 それが2年目に結果として表れるようになって、今は監督がこの場面でなぜサインを出すのか、という"意図"を理解できる選手が増えてきた。もちろん、走ることやエンドランなどでチームを動かすことは手段のひとつで、相手が嫌がる野球をするのが井口イズムなのかなと思いますね」

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