西武「山賊打線」のニューフェイス。川越誠司の異色の球歴

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

 アッシュ系のヘアカラーに染めた山川穂高、金髪の森友哉と茶髪の外崎修汰、ヘルメットからはみ出た襟足をたなびかせる金子侑司など、外見も打撃スタイルも個性的な西武の"山賊打線"で今季、チャンスをうかがう新鋭がいる。

 川越誠司、27歳。坊主頭で唇の上に髭をちょこんと蓄え、野武士のような風貌だ。

「野生味?......あるんじゃないですか(笑)」

昨シーズン、投手から野手に転向したプロ5年目の西武・川越誠司昨シーズン、投手から野手に転向したプロ5年目の西武・川越誠司 2015年ドラフト2位で指名した際、渡辺久信GMは「野生味があって楽しみな投手」と評した。ピッチャーとしてその才能が花開くことはなかったが、2019年シーズンから外野手に転向すると、メキメキと頭角を現していく。

 昨年オフに行なわれたアジアウインターリーグでは、全15試合に出場して打率.346、2本塁打の活躍で最優秀打者賞を受賞。その勢いは今季開幕前のオープン戦や練習試合でも落ちず、各メディアが「ブレイクを期待する選手」と推すほどだ。

 プロ入り後、投手から打者に転向して成功した選手は少なくない。阪神の糸井嘉男やヤクルトの雄平が代表格で、西武には木村文紀がいる。3人に共通するのは卓越した身体能力で、川越も同じ特性を備えている。

 打席に入れば豪快なフルスイングを見せ、塁に出れば50メートル5秒9の俊足で疾走し、外野からは遠投120メートルの強肩で鋭い返球を送る。一度でもそのプレーを目撃した者なら、ポテンシャルの高さに目を奪われるだろう。走攻守に秘められた可能性は極めて高く、野手になった今も「野生味」は健在だと自負している。

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