2020.06.29

T−岡田の運命を変えた「おばちゃん」。
その出会いから虫捕り名人が強打者へ

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

 長一さんからも興味深い話を聞いた。

「とにかくファウルが少ない子で、打球がきれなかった。バッティング練習でもアウトコースいっぱいの球はレフト線、インコースはライト線に打ち返すのですが、全部フェアグラウンドに入る。まるでテニスラケットを使ってコースの隅に打ち分けるようなバッティングでした。力はもちろんですが、相当な技術が備わっていました」

 高校時代からプロ入り後も何度か取材したが、バッティングで意識するポイントについて聞くと、「しっかり引きつけて打つこと」を挙げていた。小学生の頃からその基礎はすでに築かれていたのだろう。

 そして棚原さんがバッティング以外のことで強く印象に残っているのが、岡田の人柄だ。

「ほんわかとしていて、やさしくて、一切トラブルのない子でした。ケンカもしないし、大声をあげて怒ることもない。友だち同士がケンカをしていると『もうええやん、一緒に遊びにいこうや』と言うような、とにかくマイルドで穏やかな子でしたね」

 その後は先述したように箕面スカイラークでよりいっそう野球にのめり込んでいった。毎晩の素振りは欠かさず、納得しなければ1時間、2時間と振り続けることもあった。