2020.06.29

T−岡田の運命を変えた「おばちゃん」。
その出会いから虫捕り名人が強打者へ

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

 そんな岡田を野球の世界へグイッと引き寄せたのが"おばちゃん"との出会いだった。"おばちゃん"とは、岡田が入団することになる学童野球チーム「山田西リトルウルフ」の棚原安子さんのことだ。

 棚原さんは夫の長一さんとチームを立ち上げ、長らく下級生チームの監督も務めた人物で、80歳となる今も忙しくグラウンドを動き回り、ノックも打っている。

 また、子どもたちには野球だけでなく、熱い言葉で世の中を生き抜くための基礎・基本を説き続けている。このパワフルな"おばちゃん"との出会いによって、岡田の野球人生はスタートした。

 棚原さんが岡田との出会いを振り返る。

「当時、私が住む団地の近くに岡田さんたちも住んでいて、なにかの用事で訪ねたことがあったんです。玄関でお母さんと話していたら、体格のいい男の子がいたので『おばちゃんと野球やらへんか?』って声をかけたのがきっかけでした。おとなしい子で、その時はお母さんのうしろに隠れてしまって逃げられたんですけど、それからも近所で虫採りしている時に声をかけ続けて......。

 それから何度かグラウンドに顔を見せるようになったんです。初めの頃は来たり、来なかったりでしたけど、3年になって仲のいい友だちと一緒に来るようになってからは休まず、本格的に野球をやるようになりました」