巨人パーラの「サメダンス」誕生秘話。
戦力外→世界一球団の中心選手になった

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Hosono Shinji

 子どもたちのエネルギーは、すぐ大人たちにも伝わった。パーラが打席に向かうと、登場曲『ベイビー・シャーク』に合わせて、スタンドのファンが両手を伸ばし、上下にたたく。まるで、サメが口を開閉しているような動きの手拍子"サメダンス"は瞬く間に広まり、ナショナルズ・パークの名物となった。その光景を誰よりも喜んだのがパーラだ。

「ものすごく気持ちよかったです。大人は球場にきて野球を楽しんでいますが、子どものためのものってあまりないじゃないですか。でも、"サメダンス"というのは年齢を問わず、ファンみんなが楽しめるものです。もともとあの曲によってファン同士がつながり、いつしかそれが選手ともつながった。すばらしいことだと思います」

 この"サメダンス"は、もうひとつ大きな効果をもたらした。クラブハウスの雰囲気を劇的に明るくしたのだ。チームも快進撃をつづけ、6月28日にデトロイト・タイガースに勝利すると、開幕以来初の貯金生活となり、7月4日のマイアミ・マーリンズ戦の勝利で2位に浮上して、ようやく地区優勝争いに加わった。

 最終的にナショナルズは、貯金24でワイルドカードでのプレーオフ進出を決めた。"サメダンス"効果について、パーラが次のように語る。

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