巨人パーラの「サメダンス」誕生秘話。戦力外→世界一球団の中心選手になった (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Hosono Shinji

 ところが6月19日のフィリーズ戦、パーラが下したある決断からチームの快進撃が始まる。

 その決断とは、打席に向かう際の登場曲の変更だ。曲を変更すること自体、珍しいことではない。事実、パーラは11年のキャリアで20回も変えている。ただ、今回はこれまでとはまったく違うジャンルから選出されたのだった。

 それまではラテン系の人気曲『Contra La Pared』を使っていたが、この日からアメリカ全土で子どもたちに大人気だった『Baby Shark(ベイビー・シャーク)』に変えた。その理由をパーラが語る。

「その日の朝、娘たちが『パパ、"ベイビー・シャーク"が聴きたい』と言ってきたんです。それでスマホを取り出して流すと、娘たちは3時間ぐらいずっと踊っていました。その後、球場に着いてから、なんとなく打席に向かう時のテーマ曲を変えようかと思いついたんです。でも、その時は"ベイビー・シャーク"にするなんて考えてもいなかった。

 ところが、スマホを出すと"ベイビー・シャーク"が流れてきて、違う曲を探そうとしたんだけど、また同じ曲......そんなのが3回ほど繰り返されて、『じゃあ"ベイビー・シャーク"にしよう』と決めたんです。『この曲にしてほしい』と球団の担当者に伝えると『本当か?』と驚いていました。もちろん、チームメイトも(笑)。ところが、スタンドを見たら子どもたちは大喜びで、すごく新鮮な気持ちになりました。あの曲にして大正解でした」

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