巨人パーラの「サメダンス」誕生秘話。
戦力外→世界一球団の中心選手になった

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Hosono Shinji

 巨人の新外国人、ヘラルド・パーラはチーム、そして球界に元気を与える方法を知っている。

 昨シーズン、パーラはワシントン・ナショナルズの一員としてポストシーズンを戦い、球団創設初のワールドチャンピオンに輝いた。ワイルドカードを含むポストシーズン全17試合のうち、パーラが打席に立ったのはわずか7回。ワールドシリーズに限っては代打として4打席立ち、1安打、1四球、1得点と平凡な成績に終わっている。

 数字だけを見れば、決して貢献度が高いとはいえないが、チームにとってパーラは欠くことのできない存在となり、ワールドシリーズ制覇の原動力となった。

昨年、ナショナルズの一員としてワールドシリーズを制したパーラ昨年、ナショナルズの一員としてワールドシリーズを制したパーラ パーラがナショナルズにもたらしたのは、走攻守の戦力としてはもちろん、ムードメーカーとしてのチームの勢いだった。

 昨年の開幕当初、パーラはサンフランシスコ・ジャイアンツのユニフォームに袖を通していた。しかし、4月の月間打率は1割9分8厘と低調で、戦力外となってしまった。

 その後、パーラは低迷していたナショナルズと契約する。初出場した5月10日(現地時間)のドジャース戦でナショナルズは0−5と完封負けを喫し、ナ・リーグ東地区の4位。同23日にはメッツに敗れ、借金は12にまで膨れ上がった。プレーオフ進出どころか、ワイルドカードさえ危うい状況だった。

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