2020.06.09

松永浩美から小久保裕紀、内川聖一へ。
根本陸夫が仕組んだリーダー継承

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Sankei Visual

 即戦力として期待される新人の小久保裕紀にも「おまえ、元からいる団塊の選手の気質に染まったら負けるぞ。強くなけりゃ、絶対に勝てない。このチームは甘い」と伝えた。

「根本さんに『そういう話もしていいんですか?』って聞いていたからね。しかも話したことは全部、伝えましたから。自分がオリックス時代に対戦した時、ダイエーの野球にスキを感じていたんだけど、いざ入ってみて、『あっ、だからなのか』と気づいたところもあったし。それで実戦に入ったら、言葉じゃなくてプレーで伝えていました」

 北九州でのオープン戦、ダイエーの攻撃中。松永が二塁走者、秋山が一塁走者で出ていた時のことだ。何気なく秋山が気になってパッと見ると、目を合わせ、微かに顔を右に動かした先へ視線を送った。瞬間、松永は意図を理解し、次の1球でダブルスチールを成功させた。

「サイン出てないのに。さすが秋山だな、と思いました。やっぱり、強い西武で野球やってきた男だなと。ベンチも『アイコンタクトだけで野球やってる。すごい』ってなりましたからね。それで今度、9回裏に僕が先頭打者で打席に立って、すぐに追い込まれたんだけど、そこからファウル、ファウルで粘って、結局、フォアボールで出たんです。

 選手みんなが『あの粘りはすごい』と感じてくれたと思うし、1番打者の僕が第1打席で必ず塁に出るところを見たら、簡単に終わっちゃいけないんだなと気づいてくれただろうし......。そういう姿をあえて現場で見せていく必要がありました。だから、基盤をつくらせてもらったんだなっていう気はすごくありますよ」