2020.05.20

「おいおい、ホントかよ」巨人クロマティの
代打満塁弾にファンは号泣した

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 とはいえ原もクロマティもいない......ふたりの4番を失って、4番に中畑清、5番にはキャッチャーの山倉和博を入れる苦肉のオーダーで臨んだ10月3日のヤクルト戦──ブラっと行ったわけではない、決死の覚悟で"いざ神宮"へとはせ参じたこの試合、なんと、球場にいるはずのなかったクロマティが奇跡のホームランを放つのである。

 巨人は先発の水野雄仁が初回、いきなり3点を失う。それでも3回表に同点として、3−3で迎えた6回表、巨人はツーアウト満塁のチャンスを掴んだ。バッターは1番の松本匡史。ここで神宮に響いた場内アナウンスにレフトスタンドで応援する巨人ファンの誰もが耳を疑った。

『松本に代わりまして、バッター、クロマティ、バッターはクロマティ、背番号49』

 代打にクロマティが出てきたのだ。

 レフトスタンドから見ると豆粒ほどの大きさの選手がバッターボックスへ向かう。たしかにクロマティだ。「おいおい、ホントかよ」とまずはどよめき、やがて「よっしゃあ」と湧き上がる大歓声。

 頭にデッドボールを喰らった翌日、ベンチにいたことも知らなかったし、代打に出てきたことにも恐れ入った。自然と応援歌のボルテージはマックスになる。そんな中、闇夜を切り裂いてクロマティが打ったセンターから左へ切れていく打球が、レフトスタンドへグングン近づいてくる。

 代打、満塁ホームランだ(号泣)。