「おいおい、ホントかよ」巨人クロマティの代打満塁弾にファンは号泣した (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

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 1986年のシーズン終盤、巨人は広島と激しい優勝争いを繰り広げていた。王貞治が監督となった1984年からの2シーズン、巨人はいずれも3位に終わっている。

 迎えた3年目の王巨人。

 この年、阪神が夏場に失速。広島とのマッチレースとなったペナントレース終盤、9月下旬の直接対決で巨人は4番の原辰徳を左手有鈎骨骨折で失うことになる。その日の負けで広島に首位の座を明け渡した巨人だったが、その翌日から4番に入ったウォーレン・クロマティが3試合連続ホームランを放つなど神懸かったバッティングで怒濤の6連勝を牽引。いよいよ優勝争いは大詰めを迎えた。

 ところが巨人は、そのクロマティも失いかける。10月2日の神宮球場で、4番のクロマティが頭部にデッドボールを受けて退場することになってしまったのである。あの時、ヤクルトの高野光が投じた145キロのストレートがヘルメットに当たった音は、大袈裟ではなくレフトスタンドまで届いた。三塁側に跳ねて転がったボールと倒れ込んだクロマティの姿に絶句した巨人ファンが喰らった衝撃は、計り知れないほど甚大なものだった。

 クロマティはすぐさま救急車で病院へ運ばれる。当時は大学生で、取材をしていたわけではなかったので、クロマティの様子は翌朝のスポーツ報知で確かめるしかなかった。

「踏み込んだのでよけ切れなかった、でも記憶もあるし大丈夫」という本人のコメントに安堵した記憶が残っている。

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