三浦大輔が柳田悠岐に直球でリベンジ。
前打席特大弾後の駆け引きがすごい
マウンドに立つ者にしか見えない光の筋がそこにはあったという。三浦が選んだ決め球はアウトローのストレート。しかし、高城のサインはストライクゾーンから落ちるフォークだった。
「向こうはだぶんインハイかフォークを待っていたはず。だから、首を振りましたよ。ここだけは絶対に譲れない、と」
サインを確認した三浦はセットポジションに入ると、ランナーを警戒するように長めにボールを持った。じつは、ここにも三浦ならではの計算があった。
「細かいことを言うと、少し長めにボールを持って、バッターを焦(じ)らせたというのはありますね。相手にいろいろと考えさせる。できる限りの準備をして攻めましたよ」
間をたっぷりと取った三浦から放たれたボールは、糸を引くようにアウトローに構えた高城のミットに吸い込まれていった。柳田のバットはピクリとも動かず、この日最速となる140キロのストレートで見逃し三振を奪った。マウンド上で小さく拳を突き上げた三浦は、大喝采のなか小走りにベンチへと引き上げていった。
「踏ん張りきれましたよね。あそこで1点取られたら終わっていた大事な場面。あの回でマウンドを降りたんですけど、次の回も頼むと言われてもダメだったでしょうね。出し尽くしたという感じです」
三浦はそう言って笑った。
ボール半個分を動かす絶妙なコントロールと、相手の呼吸まで読む繊細な駆け引き、そしてプレッシャーに屈しない強靭なメンタルとここ一番の集中力。柳田に投じた渾身のストレートは、"ハマの番長"のすべてが詰まった1球だった。
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