19歳初登板で稲葉篤紀に投じた驚きの一球。武田翔太に度肝を抜かれた (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

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「僕はキャッチャーや味方の野手に向かって笑みを浮かべているんです。それは中学生の頃から変わりません。バックを守る野手を盛り上げたいと思ったのが始まりでした」

 きっかけは中学2年の秋だった。髄膜炎を発症し入院した武田に、担任の教師はメンタルトレーニングの本を手渡した。その一冊が基盤をつくった。

「笑顔に関しては"プラス思考"です。以前は、味方がミスをすると心が揺らいでしまう自分がいました。でも、僕が"攻める"のは打者。"責める"べき相手は味方じゃない。だから『オッケー、オッケー。何個エラーしても大丈夫だよ』と呼びかけるつもりで、守っているみんなに笑顔を見せるようにしたんです」

 また、こんな自身の超感覚も教えてくれた。

「マウンドから必ず見るのは打者の表情です。顔を見れば、何を考えているのかわかりますから。あとは打者から出るオーラを感じるんです。どんな球を待っているのか、どのコースが苦手なのか......それが頭のなかにピンとくる。直感的にわかるんです」

 嘘みたいな話だが、武田はいたって大真面目である。事実、それを納得させるだけのピッチングを見せた。

 デビュー戦は2012年の七夕だった。7月7日の日本ハム戦(札幌ドーム)で、いきなり6回1安打無失点(5回までは無安打)の快投を見せ、プロ初登板・初先発・初勝利を達成した。

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