高卒1年目でプロを見下ろす度胸。
松坂大輔を支えた投球以外のすごさ

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

日本プロ野球名シーン
「忘れられないあの投球」
第3回 西武・松坂大輔
プロ初先発・初勝利(1999年)

 高校野球で"怪物"と恐れられていても、夏の甲子園決勝でノーヒットノーランを達成しても、プロ野球はレベルが違う。同じ野球という競技であっても、高校野球とプロ野球は地続きではない。18歳の高卒ルーキーが、修羅場をくぐり抜けた打者たちをバッタバッタと切って取るシーンなんて見られるはずはないだろう。1999年4月7日、東京ドームの外野席に座っていた筆者はそう思っていた。

プロ初先発の日本ハム戦で勝利を挙げた松坂プロ初先発の日本ハム戦で勝利を挙げた松坂 1998年春のセンバツで優勝、夏の甲子園ではPL学園(大阪)、明徳義塾(高知)など強豪に勝ち、決勝では京都成章(京都)をノーヒットノーランで抑えて深紅の大優勝旗を手にした。1998年の松坂大輔は確かにすごかった。しかし、PL学園時代に甲子園で通算20勝を挙げた桑田真澄でも、読売ジャイアンツ入団1年目はわずか2勝に終わっている。松坂が呼び名通りの"怪物"でも、「プロの洗礼を浴びるのではないか」と見る向きも多かった。

 西武ライオンズにドラフト1位で入団した松坂が、プロデビュー戦で対戦したのは北海道に移転する前の日本ハムファイターズ。"ビッグバン打線"の異名をとるだけあって、破壊力はすさまじい。1番はいぶし銀の井出竜也、2番はのちに2000安打を達成する強打の小笠原道大。3番には、1987年に甲子園春夏連覇を果たしたPL学園の主砲・片岡篤史が座っている。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る