松坂世代の独立リーグ監督はコロナで大打撃。励みは「ヒーロー」の活躍 (3ページ目)

  • 広尾晃●文 text by Hiroo Koh
  • photo by Hiroo Koh

 2019年、堺シュライクスは関西独立リーグ(2代目)で18勝27敗(勝率.400)で4球団中最下位に終わってしまう。

「率直に言って『ありえない』という感じでした。プロの世界で野球の知識やマインドを教わってきた僕からしてみたら、常識が違うという感じでした。それこそ一つひとつ教えてあげる。『なんでわからんねん』とは言わず、できなければわかるまで教える。その繰り返しでした。

 でも、1年間やったらやっただけのことはありました。成長したんやと実感できました。もちろん、実力はNPBとは雲泥の差です。それでもなにかしら光るものがある選手がいる。それを磨くのが僕の役割ですね。そこをなんとかしたいと思っています」

 選手を磨く一方で、独立リーグは「野球をあきらめさせる場」でもある。大西はその現実にも向き合わなくてはならない。

「独立リーグは夢を追うところでもあるけど、同時に夢をあきらめる場でもある。辞めどきは本人たちにそれとなく言っています。もちろん、基本的には本人たちがやり切ったと思うまでやればいい。どんな選手でも野球をやっていればNPBに行ける可能性はゼロではないですから。ただ、中途半端に夢を持っている選手には、『それは違うよ』って言うこともあります。僕やコーチの藤江均(元横浜など)は、その後の人生設計をしてから野球をやめた。だから『次の人生があるんやで』と言えます。

だから、野球をやめたらどうしていいのかわからない選手には、いろいろなことを教えてあげないといけない。僕は監督だけじゃなく、飲食店の店主としての姿も見せて『次の世界でも楽しく、ちゃんとできる』というのをわかってほしいと思っています」

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