ヤクルトのドラフト秘話。八重樫幸雄が語る、いろいろ誤算があった選手たち (4ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

【由規以上の逸材を獲得したものの......】

――翌2011年ドラフトは東海大学・菅野智之(巨人)、東洋大学・藤岡貴裕(ロッテ→日本ハム→巨人)が話題となりました。ヤクルトは東海大甲府の高橋周平(中日)を指名したものの抽選で外れて、光星学院・川上竜平を1位で獲得しました。川上選手は青森の光星学院出身ですから、八重樫さんの担当ですね。

八重樫 球団としては高橋周平が本当にほしかったんですよ。僕は北海道・東北担当だったけど、高橋を見るためにスカウト部長と一緒に東海大甲府まで見に行きました。ドラフト前の理想としては「1位:高橋周平、2位:川上竜平」の高校生コンビの獲得でした。

――結果的に高橋選手を外して、川上選手を1位指名しました。彼の魅力はどんなところでしたか?

八重樫 外野手として守備範囲の広さは魅力でした。足もすごく速かったしね。肩も強くて、球も速くて、投手としての適性もあった。でも、結果的に川上が一度も一軍出場がないまま退団していったので、SNS上では「八重樫はダメだ」って言われているんですよ(苦笑)。僕にも言い分はあるんだけど、プロは結果がすべてだから、言い訳はしないですけどね。

――この年はドラフト3位で日本製紙石巻の比屋根渉も獲得しています。これも八重樫さんの担当ですね。

八重樫 この年は「足の速い外野手がほしい」というチーム事情がありました。ただ、比屋根の場合は練習の時から、ちょっとしたミスが多かった。その点は心配だったけど、プロでもそういう部分は直らなかったよね。そこがもったいなかったな。

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