吉見一起「だます」投球の極意。「イチ・ニ・サン」と「イチニ・サン」 (5ページ目)

  • sportiva●文 text by sportiva
  • 松田崇範●写真 photo by Matsuda Takanori

吉見 はい、とにかく「考えながら」練習をしてほしいですね。何でそういうことを言うかというと、ソフトボールの上野(由岐子)さんの影響もすごく大きいんです。

二宮 上野選手ですか。

吉見 はい。上野さんにも同じことを言われたんですよ、廣瀬監督や谷繁さんと。最近までよく一緒に練習をさせていただいていたんですけど、あれは2008年の北京オリンピックの後だったかな。

 上野さんと練習を一緒にさせていただいていた時に言われたんです。「速いボールを投げたいと思っても投げられないんでしょう。だったら違うことで補えばいいじゃん」って。「どうしたらいいんですか?」って聞いたら「考える能力だ」って言われたんです。「考える力で補っていけば、150キロ投げる人にも勝てるよ」と。

 答えが合っていくんですよ。社会人のときに「考えなさい」って言われて、プロに入って谷繁さんにもそういうこと言われ、上野さんにも「吉見君が生きていく道はこういう道だよ。そうするためにどうすればいいのか自分で考えなさい」ってね。

 若いうちに色々な人から同じようなことを言われて、それに気がつけたことは幸運でした。考え続けた上に、今の自分がいると思っています。だからこそ、僕は若い子たちに「考えながら」野球を頑張って欲しいですね。

《あらすじ》  少年野球チームのない街に育った石浜ブンゴは買い与えてもらったボールをブロック塀に投げ込む毎日。そんな「壁当て」に心血を注ぐ彼のもとに少年野球日本代表の野田ユキオが現れて二人は予期せぬ対決へ…!? 甲子園を超える甲子園のための死闘、中学(シニア)野球で少年たちの情熱が乱れはじける――‼

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