吉見一起「だます」投球の極意。「イチ・ニ・サン」と「イチニ・サン」 (3ページ目)

  • sportiva●文 text by sportiva
  • 松田崇範●写真 photo by Matsuda Takanori

吉見 ところでなんですけど、『BUNGO−ブンゴ−』の中に僕、出ていますよね。間違っていたら申し訳ないんですけど。

二宮 そうですね。作中の吉見というピッチャーはコントロールのいい投手なので、コントロールの良いピッチャーといえば中日の吉見投手だということでお名前を拝借させていただきました。

吉見 ああ、そうなんですね。名前を使っていただいて、とても嬉しいです。

二宮 今、コントロールのお話をさせていただきましたが、吉見投手の制球力の秘密について教えてください。何か特別な練習をされていたのでしょうか。

吉見 少し話が逸れるかもしれないんですけど、僕、高校生の頃まで、団地に住んでいたんです。そこの団地の階段をめがけて投球練習を小さい頃から高校生になるまでずっとやっていたんですよ。一段目に何球当たったら、次は二段目だというふうに。

二宮 高校生になってもやっていたんですね。

吉見 テニスボールを使ってひたすら投げていましたね。コントロールがなぜ良いのかってことはよく聞かれるんですけど、きっとこの反復練習がよかったのかと思います。一球一球、階段に向かって投げながら、どうやってあそこに行くのかなということを考えるんですね。

 こうしたらどうなるんだろう、こうしたほうがいいんじゃないかって考えながら。頭で思い描いていることをどう表現するかっていうことに、結構時間を使いました。こういうボールが投げたい、こう投げたい、どうしたらいいんだろう、こうやってみたらどうなるのかな、と実験していましたね。

二宮 制球の良さはコツコツと長年積み上げてきた成果だったんですね。他にも制球力を高めるために工夫して練習していたことはありますか。

吉見 個人的に思うのは練習をするときに、まずは近い距離で投球練習をしてみることがよいのではないかと考えています。例えば15メートルでストライクが入らないんだったら、18メートルで入るわけないでしょうという考えなんです。

二宮 なるほど。

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