2020.04.08

秋山幸二と佐々木誠の大型トレード。
その裏にあった松永浩美のFA秘話

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

 11月2日、松永がFAの関連書類を投函。<改革委員長が自ら「FA宣言第1号」となった>と新聞記事は伝える。本人の「宣言」も載っている。

<自分のことをタイガースも含め全球団がどう評価してくれているか知りたい。不安はあるが、これからFA宣言する選手のためにも。若い選手にはいいFAの意識を持ってほしい。せっかく自由の権利を勝ち取ったのだから、もっともっと活発にやっていってほしい>

 記事によれば、阪神球団は<FAするかどうかは半々>と見ていた。移籍1年目だから<ない>との見方もあった。ただ、宣言期間前に一度も松永と会談せず、残留交渉に必要な資料も用意できず。「もうウチの人じゃないから、ひとりの名サードと話をすることになる」という球団社長の言葉にも熱さがない。松永が当時を振り返る。

「実際、阪神との交渉は拍子抜けしたんです。『え? 引き留めてくれないの?』というような感じがあって。何か温度差があったのかな。FA元年だけに、どういう対応をしていいか、たぶん球団はわかってなかったと思うし、こっちもわかってなかった。そんななかで話し合いをして、淡々と話をされて、終わって。『うーん、何だこれは』みたいな感じになったんです」

 11月27日、旧球団との占有交渉期間が終了。元年にFA宣言したのは松永のほか、中日・落合博満、オリックス・石嶺和彦、巨人・駒田徳広、そして同じく巨人・槙原寛己の5名。このうち槇原だけが巨人と再契約し、残る4人は移籍の可能性が高まった。その3日前に阪神と交渉した松永は「残念ですが、縁がなかったとしか言いようがない。ああいう条件では......」と語った。