今永昇太が山﨑康晃に懇願する
「これだけはやめてほしいこと」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 細野晋司●写真 photo by Hosono Shinji

── それぞれ、思い入れがある"今年のボール"を挙げていただくとしたら、どのボールが浮かんできますか。

山﨑 僕はストレートです。投げているパーセンテージでは半分が真っすぐ、半分がツーシーム、ちょこっとカットボールという感じなんですけど、やっぱり真っすぐありきのツーシームなんです。やたらとツーシームがフォーカスされますけど、アウトコースのストレートをきちっと投げられれば有利な展開にもっていける自信はあります。僕はインステップして投げますから、相手バッターが遠く感じる、これは脅威だと思われるような、アウトローへ糸を引くような、そんな真っすぐを投げ続けていきたいと思っています。

今永 僕もストレートにはこだわりがあるし、それが投げられなくなったら野球人生は終わりだと思っているくらい、ストレートが生命線だと思っています。ストライクゾーンに投げ込めるストレート......空振りが取れればそれに越したことはないんですけど、それよりも僕は、ファウルが取れるストレートを見て欲しいんです。ファウルを取ることでバッターが考えていることを探ったり、何をしたいのかが見えてきたりしますからね。

── 去年はプレミア12で優勝して10年ぶりの世界一を勝ち取りました。

山﨑 国際試合ではイレギュラーなことが起こりますから......台湾で昇太が投げた試合、地元の台湾が相手だったから球場の雰囲気が凄まじいとは聞いていたけど、想像をはるかに超えるものすごい応援だったもんね。

今永 いろんなことが思いどおりにならないと思ったほうがいいんです。台湾で試合した時は、僕らの前の試合が延長でちょっと長引いたりすると、アップするスペースが狭かったり、時間が短かったり、予想外のことがたくさん起こりました。だからこそ、普段のルーティンを変えないことが大事。そして、そのルーティンができなくなったとき、柔軟に対応する柔らかい頭と心を持っておくことはもっと大事になってきます。

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