甲子園ではスタンドから応援。「元補欠」育成5位が巨人一軍を目指す (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

【イースタン・リーグ記録を更新する134安打】

 2016年ドラフト会議で、松原は育成選手5巡目で指名を受けた。一軍の試合に出場できる支配下選手ではないが、プロ野球選手として名門のユニフォームを着ることになった。

 背番号は3ケタの009。契約金ではなく支度金が300万円。推定年俸は240万円。はじめは三軍でのスタートになるが、支配下選手になれば一軍でもプレーすることができる。プロ野球では、二軍の下に独立リーグや社会人、大学などと対戦する三軍がある。松原はそこで力をつけていった。

 1年目の2017年には100試合に出場して打率.332、1本塁打、45盗塁を記録。2018年の春季キャンプでは一軍のキャンプメンバーに選ばれた。7月に支配下選手登録され、一軍でプレーする権利を獲得。年俸は420万円に上がり、背番号は59番に変わった。

 この年、松原は二軍で117試合に出場し、打率.316をマークした。24盗塁はイースタン・リーグで2位。それまでのリーグ記録を更新する134安打を放った。

翌2019年は一軍の春季キャンプメンバーに選ばれたものの、ほどなく二軍落ち。イースタン・リーグでも打率は3割に届かず(.287)、盗塁は17個にとどまった。

「去年は、一軍に呼んでもらった時に『打てなかったらヤバイ。打てなかったらどうしよう』という気持ちになってしまいました。自分にはメンタルの強さが足りないと思います。まだ本当の自信がないから、そういう気持ちになるんだと思います。しっかり練習して自信をつけるしかない。練習を積んでいい結果を手繰り寄せれば、一軍に呼ばれた時にアグレッシブにプレーできるはずです」

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る