DeNA櫻井周斗をラミレス監督が高評価。驚くほど投球内容が変わった (5ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Koike Yoshihiro

 そして3月18日のロッテとの練習試合で櫻井は2回を投げ、3安打、2失点ではあったが、これまでにない手応えを感じたという。

「今年初めて、ピッチングができた試合でした。それまではピッチング以前の問題でしたからね。自分の狙いどおりにストライクが投げられましたし、ようやくスタートラインに立てたのかなって。打たれて失点はしましたが、球種の選択であったり、それこそ大家コーチに言われていた、何でそのボールを投げるのかという部分でも答を出せましたし、あとは修正していければという感じでした」

 この日のピッチングに対しラミレス監督は「失点はしたが前回よりも進化があった。下半身の使い方が良くなったことで出力も上がった。そうするとうしろ足の使い方もよくなるし、カーブでストライクを取れていた。クイックも終始安定したタイムを出していたしね」と及第点を与えている。

 現在、新型コロナウイルスの影響によりプロ野球の開幕が大幅に遅れているが、櫻井はまだレギュラーシーズンでローテーションを任せてもらえる状況にはない。チャンスはもらうものではなく、自らつかむもの。いかにひとつでも多くアウトを取るかを模索するチャレンジは続く。

「大事なのは、結局、自分がどうしたいのかだと思うんです。どんなピッチャーになりたいのかといえば、ほかの人と違うタイプのピッチャーを目指したい。昨年はリリーフではロングをやったり、ワンポイントで投げたり、いろいろな経験をさせてもらいました。

 また先発ならばバッティングも問われるでしょうし、どんなシチュエーションにも対応できる、時代のニーズに合うようなピッチャーが理想ですよね。そう考えれば僕にしかできないことは結構ありそうですし、開幕が延期になったことをプラスに捉え、どんどん形にしていきたいと思います」

 目下の課題は、制球を安定させるためのフォームの再現性。櫻井は「最後は腕が振れるか、振れないか」と、力強く静かに語った。

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る