まさか!のロス五輪韓国戦に先発。吉田幸夫が一世一代の投球を見せた (6ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

 7回に守備のミスもあったりして一、三塁のピンチを迎えたら、松永監督がベンチから歩いてきて、「お疲れさん」の一言でボールを取り上げられてしまいました(苦笑)。私は自分の仕事を十分に果たしたと思っていましたから、「お疲れさまでした、ありがとうございます」と言ってマウンドを宮本くんに託しました。でも宮本くんも肩が痛いはずだったので「お前、投げられるのか」と言ったら、「投げているうちによくなってきたんです」と......ちょっと不安でしたけど、あとは任せたぞ、と彼に託してマウンドを下りました。

 宮本はこの回のピンチを凌いだ。しかし韓国は9回裏、ノーアウト一、二塁と宮本を攻め立て、日本は伊東昭光(本田技研)を投入する。ここでキャッチャーの嶋田が牽制で二塁ランナーを刺し、さらにツーアウト一塁からのセンター前ヒットで三塁を狙ったランナーもセンターの熊野輝光(日本楽器=現ヤマハ)が好返球で刺して、2-0でゲームセット。日本は韓国との初戦を制した。日本はその後、ニカラグアに勝って予選リーグ突破を決めた。そして、準決勝の相手はチャイニーズ・タイペイ――先発はまたも吉田に託された。

つづく

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