元ホークス吉村裕基はオランダ→沖縄へ。NPB131本塁打の男が選んだ道 (4ページ目)

  • 広尾晃●文 text by Hiroo Koh
  • photo by Hiroo Koh

 結局、NPB球団からのオファーはなかった。

「プロ野球選手になった以上、トライアウトは経験しておこうと。のちに、トライアウトの話題になった時に知らないよりも知っておいたほうがいいという気持ちもありました。あの独特な緊張感も経験できたし、なんの悔いもなかった。あそこで結果を残してチームと契約する人は、まだプロ野球界に役割があるんだろうと。でも、オレだって次の挑戦が待っている。何かの役割があるだろうと思っていました」

 吉村が次にプレーする地に選んだのがオランダだった。

「2015年に(オランダ出身の)バンデンハークがソフトバンクにやって来て、いろいろと話をしたのですが、僕はオランダに野球があるって知らなかった。『キャリアを終える時、ぜひオランダの野球を経験したい』と、彼に話したんです。イタリアやメキシコに行くことも考えたけど、オランダですることになって。じっとしているくらいなら野球をやりたいなと。給料はありません。交通費なのか、食費なのか、5万円くらいもらっただけです。

 今まで、野球のなかで一番いいところでやらせてもらっていた。オランダではケータリングとかも一切ないし、コンビニもないから、ごはんを食べるのに苦労しました。大変でしたけど、そういうのを経験できたことはよかったと思っています」

 そして昨年のオフ、吉村は沖縄に創設された新球団「琉球ブルーオーシャンズ」への入団を決めた。

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