西武・松本航、2年目のアップデート。課題克服で目標の投手像が見えた (2ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

 その成果は結果となって表れた。オープン戦の開幕投手となった3月1日のDeNA戦では、5回を投げて3安打、無失点、5奪三振。二塁を踏ませない好投で開幕ローテーション入りに大きく前進した。

 松本は、常にアップデートの連続で今に至っている。日体大2年の時に首都大学野球連盟のMVPと最優秀投手に選ばれたのだが、そこからの成長がすさまじかった。日体大の古城隆利監督が振り返る。

「当時は"ちぎっては投げ、ちぎっては投げ"という淡白なリズムで、クロスステップも強く、典型的な力で抑えるタイプの投手でした」

 そこからじっくりと時間を費やして、クロスステップをスクエアに変更すると、ボールは格段によくなった。3年時にはユニバーシアード日本代表に選出され、同年秋の明治神宮大会では準決勝の東洋大戦に先発。昨シーズンのパ・リーグ新人王である甲斐野央(ソフトバンク)と投げ合って、4安打完封。37年ぶりの日本一の立役者となった。古城監督は言う。

「常によくなろうという意識で練習に取り組んでいたし、あらゆる場面で率先して動いてくれました。それが"ここぞ"という場面での信頼感につながっていたと思います。どんな状況でも冷静で、気持ちがぶれない。だから、彼に主将を任せたのです。12年間、監督をやってきましたが、投手で主将を任せたのは松本だけです」

 そして、こうアドバイスを送る。

「力強い球で押す一方、かわす部分も覚えてきたのでしょう。プロ入りしてからは大学の時よりもストライクゾーンの隅を狙っています。でも、もっと大胆でいいと思うんです。『打てるもんなら打ってみろ』くらいの気持ちで腕を振ってほしい。そこから活路が開けるかもしれない」

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