西武・松本航、2年目のアップデート。
課題克服で目標の投手像が見えた

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

 今年2月の西武ライオンズのキャンプは、高橋光成、今井達也、松本航、そしてルーキーの宮川哲といった歴代の"ドライチ"たちが、ブルペンで並ぶようにピッチングを行なう場面が多くみられた。

 開幕投手は、昨年チームトップの12勝を挙げたザック・ニールが最有力だが、キャンプ前半は辻発彦監督が「開幕候補のひとり」と奮起を促した高橋だけでなく、今井もキャンプ3日目に打撃投手として登板するなど、若手投手たちの積極的なアピールが目立った。

昨シーズン、ルーキーながら7勝をマークした松本航昨シーズン、ルーキーながら7勝をマークした松本航 そんななか、気になった投手が2年目の松本である。昨年のキャンプで松本は、ブルペンで圧倒的な存在感を放っていた。「飛ばしすぎではないか」と思うほど、自慢のストレートが猛威をふるい、けたたましい炸裂音を立てながら捕手のミットを叩き続けていた。

 しかし今年は、昨年のような派手さがない。野性味を押し殺すかのように、静かに調整を続けていた。

「投げ込みたい気持ちはあるのですが、そこは焦らずに調整していかないと。去年はキャンプでいいスタートを切りながら、開幕直前に肺炎を患って二軍スタートでしたからね。コンディションの面でも同じ轍を踏まないように注意しています。それでも、去年より自分のやりたいことはできています」

 昨年は新人最多の7勝を挙げたものの、松本は「いい時と悪い時の差が激しかった」と振り返る。原因はフォームが安定しなかったことだと自覚している。そのため、今年のキャンプ序盤は右足(軸足)のタメを意識しながら、フォーム固めに集中した。

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