無観客試合のリアルとは。選手は聞こえすぎる声、新たな音に戸惑い (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 吉田大成はこの試合、三塁で先発し、途中から二塁を守った。

「普段の試合では、歓声で相手チームのベンチの声は聞こえないのですが、無観客だとよく聞こえますよね。(paypayドームの)ソフトバンクとの試合では、松田(宣浩)さんはあんなに声を出すんだと知りました。そのことでチームの雰囲気やカラーみたいなものを知ることができました。

 それに守備についている時、相手チームの応援はすごく聞こえてきます。それって、すごくプレッシャーになるんです。そういう意味で、無観客ではそのプレッシャーが少し緩和される感じはあります」

 上田剛史は「試合でのボールの見え方とかが全然違います。やっぱり、無観客だとアドレナリンがあまり出ていないんじゃないかと......。でも、意外と落ち着ける部分もあるんです」と話した。この日は試合途中から、普段なら熱狂的なスワローズファンを背にするライトのポジションに入った。

「守りやすさという意味では、無観客のほうがやりやすいと思います。打球音がよく聞こえるので判断しやすい。でも、やっぱり寂しいですよね。お客さんがいて、盛り上がってこその野球ですし......。ファインプレーをしても、ホームランを打っても、お客さんがいなければいつもと盛り上がりが違う。まだオープン戦だから割り切っていますけど、公式戦で無観客になったらめちゃめちゃ寂しいと思います。それに無観客だと集中力がどこかで途切れてしまうんじゃないかと」

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