無観客試合のリアルとは。選手は聞こえすぎる声、新たな音に戸惑い (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 ヤクルトの先発は石川雅規。プロ19年目を迎える左腕は、登場曲とファンの歓声がないなか、マウンドへと向かった。

「普段から試合に入れば音は気にならないのですが、ファンの応援が聞こえなかったということでは......みんなの声援に支えられていたんだということを、今回の無観客試合であらためて感じました」

 この日、3番手で登板した中尾輝は、試合終盤の7回からマウンドに上がった。

「シーンとしていて、マウンドに向かう時からいつもと全然違いました。投げている時もいろんな音が入ってきて......。ストップウォッチの"ピッ"という小さい音も聞こえてきて、すごく気になりました。やっぱりファンがいてこそ、ボールに強さが出るというか、気持ちの入り方がまったく違いますね。マウンドへ向かう時に音がない、観客がいないというのは、本当に練習をやっている感覚というか、紅白戦みたいな気分になってしまいます」

 ここまで中尾は、オープン戦3試合に登板して、無失点と好調を維持している。

「このまま調子を落とさずにいしたいです。去年は何もできなかったので、今年は取り返したい。そういう意味でも、無観客試合が早く終わってほしいですし、ファンの応援を早く聞きたいです」

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