牧田和久、MLB仕様からの脱却。「打たれたらしょうがない」の達観思考 (2ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Koike Yoshihiro

 今年で36歳。熟練のアンダースローに、周囲は「アメリカ仕込み」を期待する。だが、本人はアメリカでの2年間を切り離し、今季への準備に着手している。

 牧田が意欲的に取り組んだのが、再び日本のボールとマウンドに慣れる作業だった。

 久米島での春季キャンプ。牧田は初日から2日連続でブルペンに入り、2日目には捕手を座らせ100球も投げ込んだ。理由は「納得するまでやりたかったから」だ。ベテランと呼ばれる選手にとっては、異例ともいえる追い込みではあるが、牧田に妥協はなかった。

「日本のボールはアメリカよりしっとりしているので、変化球が指にうまく引っかからない。マウンドもアメリカは固いから、しっかり足を踏み込めば体が勝手に回ってくれるイメージだけど、日本は柔らかい。マウンドでしっかり下半身を踏ん張らせないと上半身が前に突っ込んでしまう。腕も遠回りしてしまうから、ボールに力が伝わらなくなる。やっぱり、2年も離れていたんで1球1球、そこを確かめながら。前の感覚を取り戻すためにはしっかり投げていかないと」

 投球術にしても、牧田は日本に適応するための準備を進める。

"フライボール革命"が起きているメジャーでは、アンダースローの特性を生かした、下から高めに浮き上がる軌道のハイボールで「面白いくらい空振りが取れた」と、牧田自身、武器としていた。そして、MLBの公式サイトでの選手投票で選出され、"魔球"と称されたカーブも効果的だった。

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