「オリックス、大丈夫?」上野由岐子の元相棒が球界初の女性スカウトへ (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Sportiva

── 現在の活動は?

「本年の1月1日付で就任して、まずは学校やチームへの挨拶周りでした。オリックスで働き始めて11年目になりますけど、正直、プロ野球選手というのをちゃんと見たことがありませんでした。自分がやってきたのはソフトボールですし、オリックスに来てからはアカデミーやジュニアチームなどで野球に携わりましたが、小中学生しか見ていない。ジュニアチームで指導した選手がのちに甲子園に行ったり、ホークスの九鬼(隆平)選手のようにプロに進んだりして、ある程度の基準のようなものをつくってくれましたが、私自身プロ野球選手を間近で見たことがなかったので、どうのようにして見たらいいのかもわからなくて......。2月は宮崎キャンプに来て、初めてプロ野球選手というものをしっかり見させてもらいました。ひとつひとつが勉強です」

── 球界初の女性スカウトということで注目もされています。

「『不安はないの?』ってよく聞かれますけど、私よりも周りの方々に気を遣わせているのかなと思っています。何もなかったところにポンと入ったわけですから」

── ソフトボールと野球。そこに違いを感じますか?

「距離感が違うのでタイミングの取り方やボールへの入り方などは野球独特のものがあると思いますが、動き出してしまえば理論的なところや形などは似ているのかなと思います。ただ、今の私はまず技術どうこうよりも、その選手が持っている雰囲気を見てしまうかなと思っています。最近の子って、スマホをいじれば情報はすぐに入ってくるし、技術のことも動画を見れば学ぶことができるから多くの知識を持っていると思うんです。そういう今の時代だからこそ、私は雰囲気を大事にしたい。

 私自身がずっと宇津木妙子さんに言われていたのが『普段の生活がすべてプレイにつながるんだよ』と。人に対する気配りや目配りもそうです。相手の心理を読むことにつながったりもします。言い方は悪いかもしれませんが、根性があって、俺は誰にも負けない、他の人よりも何かひとつでも多く練習してやろうとか、そんな泥臭さを持った選手が最後に勝つと思うんです。そういったのは打席に向かう雰囲気や目つき、そんなところにも自然と出ると思います。そんな部分を見逃さないようにしたいですね」

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