阪神・糸原健斗が目指すウザい男。「相手が嫌がることをするのが仕事」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

「今まで梶谷(隆幸/DeNA)をはじめ教え子がプロに進むことはありましたけど、糸原は体が小さくて今まで評価されてこなかった。でも、ワシは絶対にプロでやれる男だと思っとります。今は打っても、守っても、走っても平均点の選手かもしれんけど、アイツは魂でプレーする男です。必ずタイガースを救う選手になってくれると信じとります」

 ドラフト5位での入団ながら、プロ3年間で352試合に出場。2年目からは2年連続で143試合フル出場を続けている。スカウトに見向きもされない時期もあったが、大学、社会人を経験したことが今に生きていると糸原は語る。

「東京六大学で壁にあたって、死ぬ気で練習するようになりました。高校を出てすぐプロに行っていたら、こんなに出続けられなかっただろうと思います」

 そして4年目の春季キャンプ。糸原の打撃練習を見ていて、明らかな変化が見てとれた。スイングの力感が軽く、そのわりに飛距離が伸びていたのだ。得意のインコースは瞬時に回転して、スタンドインすることも珍しくない。このスイングこそ、糸原が新たに取り組んでいることだ。

「これまでの3年間は、コンパクトなスイングを意識するなかで、力んでしまうところがありました。去年は逆方向に打つことにこだわりすぎて、得意のインコースでも力んで流そうとしていた。今年は自主トレの時から、いかに力感をなくしてヘッドを走らせるかを意識しています」

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