大矢明彦が佐々木&谷繁バッテリー誕生秘話を告白「シゲを使っていいか」 (7ページ目)

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko
  • photo by Kyodo News

「変わってきたのは、僕が監督になってからだと思います。佐々木とは確かにそういうことがあって、僕も最初はシゲをセットでは使わずに代えていました。だって、プロは商売ですからね。佐々木がセーブポイントを上げるのは、それは彼の仕事になるので、邪魔できませんから。

 ただ、毎日練習をやる時に、早出をさせてベンチの前で僕はワンバンを彼にバンバン放って止める練習をさせました。シゲはあざだらけです。連日、それをあいつは頑張って耐えました。投手陣もそれをじっと見ていました。

 そうしたら、夏ぐらいに...阪神戦だったかな。2点差があったときに、佐々木に『今日は2点差あるから、シゲをこのまま使っていいか?』と聞いたんです。そうしたら、『いいですよ、2点あるから』と返事があって。そこからですね。あの佐々木が『あれだけ練習しているんだから』と言ったんです」

 認められた瞬間であった。大矢もまたそれを待ち望み、タイミングを図っていた。

「しばらくしたら、佐々木もだんだん褒めるようになって『谷繁のリードがよかった』とか言うので、『お前、まっすぐとフォークしかねえんだから、リードもへったくれもねえだろ』と笑ったんだけど(笑)。でも、そうやって言ってくれる気持ちがうれしいですよね」

(後編につづく)

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