佐々木朗希は待つ喜びを教えてくれる。逸材は実戦登板へスロー調整 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 1年前の4月6日、佐々木は高校日本代表研修合宿の紅白戦で163キロを計測している。その登板後、本人は「変な力が入った」と語ったが、見る者をしばらく放心状態にさせるボールだった。殺気を帯びたあの投球を思えば、ある程度セーブして投げている現在は嵐の前の静けさを思わせる。

 研修合宿の直後、佐々木は骨密度など身体の内部を精密検査している。その結果、佐々木の肉体はまだ成熟していないことが判明した。大船渡高の國保陽平監督は「163キロは出てしまいましたが、まだ球速に耐えられる体ではないということです」と説明している。その後、昨秋に佐々木がプロ志望を表明した際にも、國保監督はまだ成長段階であることを明かした。

 前代未聞の素材だろう。160キロを軽々と超える馬力だけでなく、190センチの大きな体をイメージどおりに動かす身体操作性。肩甲骨、股関節を頻繁にほぐす練習中のふるまいを見ていれば、取り組みにも独特のこだわりがあることはすぐに察知できる。ドラフト前、あるスカウトは冗談交じりにこんな言葉を漏らしていた。

「本音を言えば、佐々木を獲るのは怖いですよ。とんでもない夢がある反面、育てきれなければ猛烈に叩かれるわけでしょう」

 佐々木が入団したロッテは、佐々木のために30ページにわたる育成マニュアルを作成したという。井口監督は1月11日の新人合同自主トレ初日に「育成プランはありますが、公開するようなものではないので、これから見守ってもらえれば」と語っている。

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