八重樫幸雄が明かす青木宣親のすごさ「ボクシングで世界王者になれる」 (5ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

――長い間、いろいろな選手を見てきて、青木選手と高橋慶彦さん、加藤博一さんくらいしか思い当たらないというのは、本当にレアな才能なんですね。

八重樫 そうですよ。王(貞治)さんも長嶋(茂雄)さんも、どちらかというと、ゆったり構えてゆったりとバットが出てくるイメージだったからね。青木の場合は、ボクシングの世界チャンピオンに匹敵する腕の速さだと思います。だから、彼には「お前がボクシングをやったら、世界チャンピオンになれるよ」って言いましたよ(笑)。

――八重樫さんが『あしたのジョー』の丹下団平に見えてきました(笑)。いきなりそんなことを言われた青木選手の反応はどうだったんですか?

八重樫 キョトンとしていたよ(笑)。どこまで本気で聞いていたのかはわからないけど、「腕の速さは誰にもマネできないお前の才能なんだ」っていうことは何度も彼には話しました。ただ、そのあとの彼の成長の速さは、僕の想像をはるかに上回る驚異的なスピードでしたけどね。

――日本球界で華々しい実績を残し、メジャーリーガーとしても6年間も活躍をしました。成功の要因はどこにあると思いますか?

八重樫 自分の考えを貫いたことですかね。指導者としては難しいところもあるんだけど、彼は自分の考えをしっかり持っていたから、自分で納得しないことはいくら言ってもやろうとしなかった。その代わり、納得すればとことん練習した。そうした試行錯誤を重ね続けたから、青木は成功を収めたんじゃないのかな? プロ3年目だったけど、忘れられない出来事もあったよ。

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