奥川恭伸が描くプロ1年目のビジョン「目標から逆算して順調」 (2ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Sawai Fumi

「第2クールの初日にキャッチボールができたのは順調だからだと思います。今の状態でも投げられないことはないのですが、(ノースローの時期が)2週間あったこともあって、セーブしながら投げています。肩やひじに関しては問題ありません」

 第2クール初日の練習後には、西都市立穂北中学校で講話を行なった。田代将太郎とともに、生徒たちの質問に答える時間もあった。

 そのなかである生徒から「プロ野球選手にならなかったらどんな職業についていましたか?」という質問に、奥川は「公務員」と答えた。公務員は警察官や消防士なども含まれるが、奥川の言う公務員は市役所職員である。

「警察官や消防士は特殊な職業なので......市役所の職員がいいなと。収入が安定しているので」

 この答えを聞いて、いかにも奥川らしいと思った。堅実で、大胆な賭けに出るような性格ではなく、周囲が騒がしくてもそれに乗っかるようなことはない。

 多彩なキャラクターが集った日本代表でも、周りのみんなが盛り上がっていても、奥川はそばで笑顔を見せながら見守っている。決して、その輪に入ろうとはしない。

 また朝は、朝食の時間を潰してまで疲労回復のために睡眠時間を最優先して、ベッドからなかなか出てこないこともあった。

 試合で最高のパフォーマンスを披露するために最善を尽くす。自身の体のことをいちばん知っているからこそ、自分の体は自分で守る。高校時代は少しでも違和感があれば、監督に申し出て別調整をしたこともあった。高校生とはいえ、なかなかできることではない。そうした姿勢は、プロの世界に入っても維持しているようだ。

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