ドラ1左腕・寺島成輝、崖っぷちの4年目。今永昇太から得た財産 (2ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Sawai Fumi

 今永は年明け早々から母校の駒沢大でトレーニングしており、寺島は付きっきりで体の使い方やトレーニング方法を教わった。この今永と一緒に過ごした約1カ月間は、寺島にとって有意義な時間となった。

「たとえば体の使い方にしても、テコの原理で考えて、左ひじを上げた時に(対極にある)右ひじの使い方をどうするのかとか。余計なことは気にせず、100%腕を振ることを考えればいいとか。そこまで難しいことは言われませんでしたが、あとは意識の問題だと思います。左ひじの上げ方で右腕がどう動くかを意識しながら腕を振ったら、徐々にしっくりくるようになりました」

 これまでの3年間もやるべきことはやってきたつもりだったが、答えは意外とシンプルなものだと気づいた。

「無意識にボールに力を入れることが一番大事。ここをこうしようというより、ここをこうするには何が大事なのかを考えればいいと言われて、気づかされることもありました」

 ストレッチにかける時間も、これまでとは比べものにならないほど長くなった。

「こんなにも時間をかけるのかと思いました。きつかったですけど、体がカチカチのままではいいボールを投げられないので、ストレッチの重要性をあらためて感じました」

 体を入念にほぐして、次の動きに生かす。1月末にはブルペンに入り、感触のいいボールを投げられたという。いい手応えをつかんだまま迎える4年目のキャンプ。昨年もキャンプは一軍スタートだったが、終盤にケガをして離脱すると、浮上のきっかけをつかめぬままシーズンを過ごしてしまった。

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