当事者が語る「巨人松沼兄弟獲得」大誤報の真実と根本陸夫の口説き文句 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

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 もっとも、文中では西武入団の<決定打>として、契約金の違いが強調されている。巨人の提示額1億2000万円に対し、西武は1億5000万円だったことで<松沼兄弟は一も二もなく降参してしまった>と。この金額は兄弟ふたりの合計額だが、ひとり7500万円としても、当時の一流選手の年俸の倍近いから、破格の金額だったことは間違いない。

 一方で、西武グループの戦略も<大逆転>につながったと伝えられてきたが、実際にはどうだったのか。

「家族とか親戚とか、選手の周りを固めるってヤツでしょ? その点、親父は砂利店なんですね。もともと東武開発さんと懇意にしてもらっていて、そちらと仕事のやり取りがずっとあったんです。それで西武グループには西武建設があって、たぶん『一緒にやりましょうよ』って声がけはあったんでしょうね。でも、親父は義理人情に堅いから、『いや、それはできない』ってお断りしてるんですよ。だから僕たち、本当に『根本さんのところに行こう』って言って決めたんです」

 交渉の場所は東京・新宿で、最終的に決断したのは千葉・松戸だった。じつは西武との交渉を終えたあとも、社会人の東京ガスのことが頭にあって、なかなか踏ん切りがつかず、帰路、ふたりで松戸のスナックに立ち寄った。それぞれの自宅から近い店で相談したが、埒(らち)が明かない。

 そこで、当時流行し始めたインベーダーゲームで決着をつけることにした。博久が勝ったらプロ、雅之が勝ったら社会人と決めて勝負した。だが、雅之が勝つと、どちらが言うともなく「もう1回やろう」となった。結局、5回ほど対戦したのちに「ふたりとも本当はプロに行きたいんだろ」となって、西武入団を決めたのだった。

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