平石洋介が明かすソフトバンクからのコーチ就任要請を受諾した真意 (3ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Kyodo News

 楽天の監督となった2019年、平石と澤井は大学を卒業して以来、17年ぶりに"チームメイト"となった。この強い結びつきがあるからこそ、平石が現場を離れるとなれば、澤井は「なんぼでも手伝う」わけである。

「興味あるな」

 平石から前向きな回答をもらった澤井は、楽天のシーズン終了後に動いた。ソフトバンクと巨人の日本シリーズ中からスポーツ番組やインターネットサイトでの解説の仕事を入れるなど、まだ正式に野球評論家として再スタートすることを表明していない平石の露出が、瞬く間に増えていった。

 じつは「ソフトバンクからコーチのオファーがあるかもしれない」と、先に情報を仕入れたのも澤井のほうだった。

「まだ正式な話じゃないみたいやけど、おそらくはオファーが来る。球団の意志で平石に『来てくれ』と言ってくれるんやったら、俺は行くべきやと思う」

 澤井曰く、その報告をした際の平石は「ウソ......」と目を丸くして驚いていたという。

 平石からすれば、楽天がCSに進んだことで「時期的にほかの球団からオファーはないだろう」と割り切っていた。それが、楽天時代から興味を抱き続けていたソフトバンクからコーチの要請が舞い降りたため、少しだけ現実を受け入れるのに時間がかかったのだ。

 一軍監督経験者が他球団でコーチになるケースは珍しくない。しかし、監督退任翌年に、ライバルチームのコーチに就任するのは稀である。マスコミで報道された際にも「異例」という文言が踊ったくらいだ。

3 / 7

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る