平石洋介が明かすソフトバンクからのコーチ就任要請を受諾した真意 (2ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Kyodo News

 仮に1年間、現場を離れて、『また戻りたい』と僕が思ったところで声がかかるほど、プロ野球は甘い世界じゃないのもわかっています。声がかからなかったらかからなかったでしょうがないと割り切ったうえで、現場を離れようと考えていたんです」

 現場を離れ、評論家として外から野球を見る。このプランは安易に選択していたわけではなかった。同志社大時代のチームメイトであり、現在、自身が所属するマネジメント会社の代表を務める澤井芳信から、楽天の退団を報告した際に提案を受けていた経緯があったからだ。

 澤井が状況を説明する。

「9月に監督退任の報道が出た時から、平石もそうですけど、僕も覚悟していました。すぐに営業をかけたわけではないですけど、心の準備とすぐに動ける体制は整えていました。なので、実際に平石が球団を辞めると決めた段階で本人にその話ができましたし、すぐにアクションを起こすことができたんです」

 平石をサポートすることは、澤井にとって責務のようなものだ。

 2011年に平石が現役を引退する際に「お前は将来、絶対に監督になる男だ!」と、指導者としての前途を祝福した。そして、2013年にマネジメント会社を立ち上げてからは、澤井は本気ながらも、冗談めかしながら平石にラブコールを送り続けた。

「監督になったら、うちでマネジメントさせてもらうからな」

「なんやお前、俺が監督にならんかったらマネジメントしてくれへんのか?」

「そんなん言うてへんやん! 監督にならんでも、現場離れた時には俺にできることならなんぼでも手伝うって」

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