戦力外通告後、村中恭兵はなぜ
ウインターリーグでのプレーを選んだのか

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Nishida Taisuke

 村中の心もまた、「マウンドへの復帰」と「現役を終えるためのけじめ」の間で揺れ動いているのかもしれない。

 年明け最初の登板は、4回を2安打、2失点(自責点0)。リードを守ったままマウンドを降りたが、3四球ということもあって、本人は内容に納得していなかった。それでも、先発としては十分な働きをした。

 観客が野球観戦に慣れていないという理由から、ニュージーランドでの試合に限って7イニング制を採用している。村中も現地に来て初めてそのルールを知ったというが、ここでは先発の責任イニングは基本4回である。2点は失ったが、自責点0で終えたことには自信になったに違いない。

 2失点も、初回にエラー2つが出たことが原因である。そのことについて、村中は自分のリズムが悪かったからだと反省する。

「エラーは全然気にならなかったです。うちのチームは守備がいいんです。今日はたまたま出ただけで、むしろいつも助けてもらっています。今日の相手は韓国人だったでしょ(昨シーズンからオーストラリア・ウインターリーグに韓国人だけで構成されたジーロング・コリア)。やっぱりアジア人は打球が弱く、ボテボテのゴロになりやすい。こっちの選手は速い打球に慣れているから、逆に難しかったと思います」

 この年明け初戦のあとも、村中はエースとして連戦の初戦を任され、結果も出している。チームは地区優勝に向けて独走かと思われたが、その後連敗を喫し、優勝どころかポストシーズン進出さえも危うい事態になりかねない。

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