2020.01.17

奥川恭伸の「2つの姿勢」に活躍の予感。
ヤクルトの自主トレで見せた凄さ

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 1月12日、第2クール2日目。

 内野ノック。奥川の両足を小刻みに動かし、左足のかかとを意識した捕球に、今度は昨年秋の松山キャンプで斎藤隆投手コーチが「イメージはかかとから。かかとで捕る」と、投手陣にノックしていた姿を思い出す。

 奥川にそのことを聞くと、「同じ高校生のふたりの内野手(長岡と武岡)がお手本になってくれているので、その形を真似てやっています」と答えてくれた。

「足を細かく刻むことは初めてです。今までは土のグラウンドだったので強く入っても大丈夫でしたが、これからは人工芝が多くなるので、そこで強く入ってしまうと捻挫の危険性があります。細かく刻むということをしっかり練習していきたいです」

 こうして取材ノートには、奥川について感心されられたことが増えていく。

・ティー打撃では、順番待ちの間も素振りを欠かさない
・ほかの選手の練習も観察している
・キャッチボールや遠投のあとは、肩回りをぐるぐる回す

 また、並べられたミニハードルを前向き、うしろ向き、横向きなどですばやくまたいで進むというアジリティトレーニングでは、順番待ちの際に思い出したかのようにゴロ捕球から送球する動作を始めた。奥川はその理由について、こう説明する。

「トレーナーの方が、このトレーニングはフィールディングの動きにもつながるという話をされていたのでやってみたんです」

 この日、大学生の吉田、杉山、大西の3人はブルペン入り。その間、奥川は遠投となった。左足を上げた状態でしばらく静止する姿は、本当に美しい。回転のいいボールが冬の冷たい空気を切り裂き、60メートル先のミットに吸い込まれていく。

「1本足できれいに立って……その姿勢はすごく大事だと思っています。そこはずっと意識していて、これからも続けようと思っています」

 遠投は最長70メートルの予定が、奥川の希望により80メートルまで延びた。

「遠投では体を大きく使って、力を抜いて伸びのあるボールを意識しました。体を大きく使うと、ちょっとしたバランスの崩れがそのままボールに出てしまいます。今日はいいボールと悪いボールがありました。遠投はこれからもやりますが、タイミングをつかみながら、いい感じのボールを増やしていきたいです」