奥川恭伸の「2つの姿勢」に活躍の予感。ヤクルトの自主トレで見せた凄さ (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 また「走るのは苦手です」と話していた1キロ走では、1本目を3分12秒、2本目、3本目は3分13秒と、いずれも独走の1位でフィニッシュ。3本のタイムがほぼ同じだと知った時、2年前の松山での秋季キャンプを思い出した。その時、ヤクルト投手陣は"再現性"をテーマにした練習に取り組んでおり、田畑一也投手コーチ(当時)はその意図についてこう説明していた。

「脳から体への正しい伝達ですよね。外野のポール間走でも、同じタイムで走ることを心がける。そのためには、同じフォーム、同じ腕の振り、同じストライドを常に意識しようと。その感覚を覚えることができたら、体幹も意識できますし、いいボールを安定して投げられるようになる」

 そのことを奥川に話すと、こんな答えが返ってきた。

「3本のタイムを揃えることは意識していました。終盤は疲れてタイムが落ちてくるので、そこで力を上げるというか......そのことでタイムは均一になっていくんじゃないかと思っています。それはピッチングでも終盤の踏ん張りというか、そうしたところにもつながってくると思っています。これからも意識できるところは意識してやっていきたいです」

 第1クールを終えた奥川は、次のような感想を述べた。

「まず(プロの練習に)慣れることが目的で、流れもなんとなくわかってきました。疲労感はありますけど、これも慣れなのでしっかりケガせずやっていきたいです」

 1月11日、第2クール初日。

 アップでの予習、復習はこの日も変わらず。ジャンプ系のメニューでは動物のように躍動感に溢れている。15分間のキャッチボールのあと、外野でノックを受け、ホームに返球。奥川のボールを受けた星野雄大ブルペン捕手は「すげー球」とつぶやく。

 ゴロを捕球してからすばやく目の前のネットに送球する"ショートスロー"では、自分の順番がくるまで一連の動きを何度も繰り返す。その後のフィジカルランニングではポール間走を12本行なったが、すべて1位。走るフォームがまったく変わらないのが印象に残った。

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