侍ジャパン井端コーチが説く。東京五輪金メダルのためにやるべきこと (2ページ目)

  • 寺崎江月●文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

──大会のMVPには広島の鈴木誠也選手が選ばれましたが、井端さんが個人的に選ぶとしたら?

「4番を担った誠也はMVPにふさわしい活躍をしてくれましたが、もうひとり挙げるとしたら5番の浅村(栄斗/楽天)でしょう。彼が誠也のうしろにいたのは心強かったですね。本人がどのくらい意識していたかはわかりませんが、勝負に徹して反対方向(ライト)にキッチリ打って、次につないだり貴重な追加点を取ってくれました。

 韓国との決勝の7回裏に出たタイムリーもそうでしたね。4-3で迎えたチャンスでライト前に運び、2点差としたことでチームに勇気を持たせてくれた。浅村は、松田(宣浩/ソフトバンク)のように感情を表に出してチームを盛り上げるタイプではないですが、内に強い闘志を秘めている選手でしたね」

── 一方で、相手投手のツーシーム系のボールに苦労していた印象もあります。東京五輪でもそこの攻略がカギになると思いますが。

「自分の国際大会の経験からも言えることですが、『強引にいかないこと』でしょうか。強く芯でとらえようとすると、それがファールになってカウントを稼がれてしまう場面も多かったですから、詰まってもいいから外野の前に落とすようなバッティングが効果的なのかなと思います。ただ、それを意識しすぎるとスライダーなどに反応できなくなるリスクもありますから、状況に合わせてですね」

──攻撃面では、ソフトバンクの周東佑京選手が走塁で存在感を示しましたね。

「タイプ的には、西武や巨人で活躍した片岡(治大/現巨人二軍コーチ)に近いでしょうか。片岡は、僕が現役時代にショートを守っていた時もスタートが抜群に速く、周東もそれとカブるところがありました。スライディングの技術などは、まだ片岡の域には達していませんが、中間走に関しては引けを取っていません。これから技術を磨いていけば、盗塁王を4度獲得した片岡と同じ、もしかしたらそれを凌駕する"足のスペシャリスト"になるかもしれませんね」

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