村上、清宮、安田は本物のスラッガーか。門田博光がこだわりの大診断 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 技術的に気になるのは、構えた時のバットの動き。シーズンが進むなかで徐々に小さくなったようには思うけど、それでもまだ結構動いている。僕の感覚からしたら、一番大事なところをなぜあれだけ動かすのかということ。

 おそらく動かしたほうがタイミングを取りやすいんでしょうけど、実際はズレが生じてしまう。ミリ単位の勝負をしているなかで、なぜ自分からバッティングを難しくしているのか。ここが改善されれば、打率はもっと上がるはずです。

 2年目にこれだけ打って、今年どうなるか注目ですね。僕も入団して2年目に打率.300、31本塁打、120打点という成績を残しました。するとその翌年、真っすぐがピタッと来なくなった。2年目までは「こんな若造に手の内を見せるか!」っていう感じで、ストレートもバンバン来ていたけど、3年目は攻めがガラッと変わった。おそらく村上も、今年はこれまでとまったく違う配球になると思います。そこでどれだけ対応できるかでしょうね。

 左投手にしても、初めの頃は意外と苦にせず打てるんです。でも結果を出すと、左投手がインコースに投げてくる。それも顔付近にね。左投手に顔の近くを投げられると、恐怖心が生まれて踏み込めなくなってしまう。そうなると、これまで打てていた真ん中から外のボールにバットが届かなくなる。そうしてバッティングを崩される可能性はあるでしょうね。

 それに今年はバレンティンが抜けた影響も出るでしょうね。これまで相手バッテリーは、山田哲人とバレンティンをマークしていて、神経を使ったあとに村上と対戦していた。でもバレンティンが抜けた今年は、村上もメインでマークされる。このように、成績を左右するのは技術以外の要素も大きいんです。

 2年目で37本を打って、周りは40本を期待するでしょうが、30本と40本の間には高い壁がある。僕も30本を打ってから40本を突破するまでに9年かかりました。村上もここをあっさりクリアするようなら、とんでもないバッターになるんでしょうけど、プロはそこまで甘くない。いずれにしても、今シーズンの彼のバッティングを楽しみに見させてもらいます。

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