井端弘和の厳選2019年5大ニュース。
坂本、MLB戦術などを挙げる

  • 寺崎江月●文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

【④ セ・リーグよりパ・リーグのほうが強いという論調】

──今年の日本シリーズでソフトバンクが巨人に4連勝したことで、パ・リーグのほうが強いという声がさらに大きくなりましたね。

「ソフトバンクは、2年連続で日本一になった経験から、『今回も勝てる』という気持ちで臨めたのが大きいと思います。反対に巨人は、昨季の広島のようにならないようにと意識しすぎてしまったのかもしれません。ともあれ、短期決戦は勝負がどちらに転ぶかはわかりませんよ。両リーグともどのチームが勝ち上がるかわかりませんでしたし、ソフトバンクがセ・リーグ6位のヤクルトと日本シリーズを戦っても必ず勝てるとは限りませんしね。選び抜かれたプロ同士なわけですから」

──しかし、交流戦でもパ・リーグのほうが勝利数は多くなっています。両リーグの野球の違いに関係があるのでしょうか。

「私の経験からのイメージですが、戦い慣れていない球団と試合をする場合、パ・リーグのチームが"どんどん行く"のに対し、セ・リーグは"様子見"という印象がありますね。私も現役時代は、最初の打席では2、3球を見逃し、追い込まれるまでボールを見ていこうという意識がありましたが、パ・リーグの打者は積極的に振ってくる選手が多かった気がします。

 でも、どちらの野球がいいというわけではないと思います。ここ何年かはパ・リーグの野球がハマっているだけかもしれないし、最初の何年かの交流戦で勝ち越したことが、先ほどの日本シリーズの話ではないですが、パ・リーグの各球団に自信を持たせてしまったのかもしれない。一度、過去のように、交流戦を撤廃してみてもいいとも思います。それによって両リーグの意識がフラットになれば、日本シリーズの結果も変わってくるかもしれない。それでもパ・リーグの球団が勝ち続ける結果になったら、セ・リーグの球団に変化をもたらすことにつながるでしょうから」

【⑤ メジャー挑戦者続出】

──いち早くタンパベイ・レイズへの移籍を決めた筒香嘉智選手(元DeNA)をはじめ、多くの日本人選手がメジャー挑戦を表明しましたね。

「資格がある選手ならば、どんどん挑戦してもらいたいです。私が選手だった頃とは何もかもが違いますから。私の場合は、"パイオニア"である野茂(英雄)さんが大学時代にメジャーに渡り、イチローさんが海を渡ったのもプロ入りして4年目くらい。だから私たちの世代は子供の頃の夢が『プロ野球選手』だったのに対し、今の若い選手たちは子供のときから『メジャーリーガー』を夢見ていた人が多いはず。それに従うのは自然のことだと思いますし、今後も増えていくでしょう」

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