ヤクルトの高卒3人が謙虚に企む来季野望。弱体投手陣の救世主となるか (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

「去年までは1球ダメだったら『アカン』となってしまいましたが、今はいい感覚のボールが増えているので、ポジティブにできているのかなと。まだまだ全然ですけど、いいボールのイメージを体で記憶するしかないと思っています。石川(雅規)さんが『いい感覚をつかむには練習しかない』と言われていたのですが、ほんとにそう思います」

 寺島は「必要なことは多いですが、やるべきことは明確です。僕はうまくなるしかないんで」と言い、こう続けた。

「今年は二軍で『先発失格』と言われて中継ぎにまわりましたが、そこで得られたものもあります。1年目にケガをして自分を出せない部分があったのですが、中継ぎで『1イニングだから』とシンプルに考えることで、平均球速も少しですがアップしました。真っすぐを思いきり投げることで変化球もよくなった。まだまだ球速は上がると思います」

 ドラフト1位で入団した寺島は、まさに来年は勝負の4年目となる。

「一軍のローテーションと言いたいところですけど......まずは一軍で安定して投げられるようにならないと。そのためには、春のキャンプ、オープン戦で結果を出して、一軍に残ることです。新しい選手がどんどん入ってくるので危機感はありますし、負けられないですけど、そこは気にせず、自分のことに集中してやっていきたいです」

 11月20日、寺島は松山キャンプで最後のブルペンに入った。斎藤隆投手コーチが「いいラインが出ている。いい角度で入ってるよ」と声をかけると、石井弘寿投手コーチも「寺島、笑え!」「そうだ、笑え」と盛り立てる。そして寺島はきれいな真っすぐを低めに投げ込むと、親指を立てて、笑顔を見せたのだった。

 高橋奎二はプロ入りしてから2年間はケガに悩まされたが、3年目の昨シーズンに一軍初登板を果たし、初勝利も記録した。今シーズンはコンディションを考慮して、中10日前後の起用が予想されたが、結果的には19試合に先発するなど、中6日で投げられるスタミナを証明した。

20試合 4勝6敗 防御率5.76 奪三振99 四球53

 昨年、高橋は「知らない自分に出会えました」と話していたが、今シーズンはどうだったのだろうか。

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