2019.12.08

カープの剛腕はスゴかった。
「なんならもう1回」とノーヒッター3度

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki


「やはり、バッターに向かっていく気持ちを持っていることです。ただし、決して自分1人で勝負じゃない。キャッチャー含めて周りに8人守ってくれてるんですから、みんなの代表で自分が勝負しとるんだと。そういう姿勢を常に持っておれば、どんな重圧がかかる場面でも難しく考えなくなって、常に気持ちはバッターに向かっていく。100パーセント。これはずっと変わらなかったですね」

 前に座る捕手と、後ろで守る7人への信頼。9人の代表で勝負しているという姿勢が頭をクリアにし、対打者に100パーセント集中できる。そう言い切れる主力投手、果たして何人いるだろうか。

「今自分が持っているものを精一杯、パーフェクトに出すということです。じゃあ、その考え、姿勢はどこから始まると思いますか? マウンドじゃないんです。私の場合、普段着からユニフォームに着替えたときでした。普段はみんなと雑談したりしても、ユニフォームは正装ですからね、グラウンド上の。だから着替えた瞬間、アイツはどうなったんや? っていうぐらいにカッと変わる。それぐらい集中してやるという」

 僕はハッと気づいた。外木場さんにとって、ユニフォームを着たときこそスイッチが入る瞬間だった。その上で100パーセント、打者に向かっていって、自分の技量、力量をパーフェクトに出したことによって3度の大記録が球史に刻まれ、実働15年で通算131勝という成績を残せたのだ。

「ユニフォーム着たら、記者連中と雑談なんかする気になれんのですよ。だから『なんやアイツ、全然、愛想がないな』とか、よう言われましたよ。しかしね、ユニフォーム着たら勝負ですから。グラウンドは勝負ですから。常にそういう気持ちを持ってましたから」

(2008年4月5日・取材)


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