2019.12.08

カープの剛腕はスゴかった。
「なんならもう1回」とノーヒッター3度

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki


「鉄砲も──」とは、間違いなく外木場さんにしか言えない言葉だ。では、そう言える野球人から見て、西武の西口文也(当時)はどう映っているのか。というのも、西口には9回2死までノーヒットノーランだった試合が2002年8月、05年5月と2度あって、さらに05年8月には、9回までパーフェクトに抑えながら味方が得点できずに参考記録となる、という試合があった。いわば、最も外木場さんの記録に近づきながら、果たせなかった投手なのだ。

「ああ、西口。あと1人が2回でしょ? よっぽど何かあるんだろうな、と思いましたよ。運もあるでしょうし、巡り合わせもあるんでしょう。だけど、そこまで行くこと自体、力がないとできないんでね。だから、最後のバッターを打ち取るのに、自分のいちばんいいボール──西口の場合はスライダーかもしれません。じゃあ、そのスライダーを多投したらですね、どんなにキレがよくてもバッターは目が慣れてついていくわけです。だったら、一球で仕留めてほしい」

 自分のベストボールは多投せず、最後までとっておいて一球だけ見せる。それは記録達成の鍵でもある。外木場さん自身に記録へのこだわりはなくとも、いざ周りから見る立場になったとき、ぜひとも達成してほしいものなのだろう。

「今の話はね、別に記録達成を目前にしたときに限ったものではないですけど、もうちょっと工夫したら西口もできると思う。普通のピッチャーは1度ならチャンスはくるけども、やっぱり3度もそういうところまでくるとなればね、また近いうちにまた可能性があるんじゃないでしょうか。ぜひ、やってくれることを期待しておりますよ」

 きっと、その期待感は西口の記録だけに向けられたものではない。1975年の20勝エースから見て、好投手の第一条件とは何か。